MBAとSpecialized MBAの違い
Specialized MBAとは
Specialized MBAを直訳すると「専門化したMBA」。「専門化したMBA」とは、簡単に言えば「特定の分野に特化したMBA」ということです。
ただし「特定の分野に特化したMBA」とは言っても、経営学の特定の専門領域に特化したMBA、という意味ではありません。あくまでも経営学の全領域を網羅的にカバーしつつ特定の専門領域を研究するMBA、という意味になります。
付与される学位は「Specialized MBA」ではなく、専門領域に応じて「MBA in ○○」となります。たとえば、国際ビジネス領域で学位を取得すれば「MBA in International Business」など。あるいは、起業領域で学位を取得すれば「MBA in Entrepreneurship」などとなります。
Specialized MBAの違いとは
一般的なMBAは、分野を問わず次世代のビジネスリーダーを目指す人たちに用意された学位。それに対してSpecialized MBAは、特定の産業のリーダーを目指す人たちに用意された資格です。
それぞれの学位の「対象」と「カリキュラム」の違いを詳しく見てみましょう。
対象の違い
一般的なMBAの対象は「実務経験3年以上の大卒者」です。細かく調べてみると、「実務経験不要」というMBAもあれば「実務経験5年以上」というMBAなどもありますが、日本を含め世界的には「実務経験3年以上の大卒者」が、一般的なMBAの対象となっています。
一方でSpecialized MBAの対象は「大卒者」であること。一般的なMBAと同様に、ビジネススクールによって対象の条件が異なることもありますが、多くのビジネススクールでは「実務経験不要」で入学を許可しています。
ただし、たとえば「MBA in International Business」を目指す場合、受講の前提として語学力は必須です。ビジネススクールに通学しながら語学スクールに通う人もいますが、入試選抜の段階で一定の語学力を求めるビジネススクールもあるので、事前に確認が必要です。
カリキュラムの違い
経営全般を研究するMBAに対し、Specialized MBAは、経営全般をベースにしつつ特定の専門領域を研究することになります。専門領域に応じてカリキュラムは異なってきますが、一般的なMBAに比べれば、内容が深く実践的で、ディスカッションが盛んになる傾向があるようです。
Specialized MBAで学ぶこと
上述の通り、Specialized MBAでは、経営全般を学びつつ特定の専門領域の習得・研究を目指します。専門領域の違いによって学ぶ内容は異なりますが、例として次の2つを見てみましょう。
MBA in International Business(国際ビジネス領域のMBA)
企業の国際的な活動に対応するマネジメントを学びます。具体的には、国際マーケティングや現地法人マネジメント、国際業務提携プロジェクトなどです。一方通行で学ぶのではなく、外国語も交えながら盛んにディスカッションやプレゼンを行います。
MBA in Entrepreneurship(起業領域のMBA)
ベンチャーを含め、将来起業を考えている人を対象に、広くアントレプレナーシップを学びます。ビジネススクールの中には、学生に学ぶだけで終わらせず、具体的に起業してビジネスが軌道に乗るまで支援するところもあります。
Specialized MBAを取得するメリット・デメリット
Specialized MBAの主なメリット・デメリットを2点ずつ見てみましょう。
メリット
希望する専門領域を深く習得・研究することができる
上でご紹介した「国際ビジネス」や「起業」などのように、特定の専門領域を深く掘り下げて習得・研究できる点が、Specialized MBAの大きなメリット。目標が明確な人には、一般的なMBAよりもSpecialized MBAのほうが適しているでしょう。
特定の業界に有利な条件で就職・転職できる可能性がある
特定領域を深く実践的に学ぶことで、その領域を含む業界に有利な条件で就職・転職できる可能性があります。
デメリット
幅広く経営を学びたい人には向いていない
経営全般を幅広く学びたい人は、Specialized MBAではなく、一般的なMBAを選んだほうが良いでしょう。
学生同士の能力や経験に大きな個人差がある
必ずしも実務経験を入学条件としないSpecialized MBAですが、実際に学んでいる学生の中には、すでに特定の業界で実務経験を積んでいる人も少なくありません。そのため、選択したビジネススクールやゼミによっては、学生同士の能力や経験に大きな個人差があるかもしれません。
Specialized MBAは転職時にどう評価されるか
Specialized MBAを取得することで、その特定領域を含む業界への転職で、有利になる可能性が高いでしょう。理論的な内容よりも実践的な内容を多く学んだことをしっかりとアピールできるよう、事前に面接シミュレーションを十分に行っておきたいものです。
また業界を問わず、リーダーとしての資質の一つに「アントレプレナーシップ(起業家精神)」を求める企業は少なくありません。その意味においては、上でご紹介した「MBA in Entrepreneurship」などを取得することで、特定領域の業界ではなく、様々な業界への転職に有利となる可能性があるでしょう。