MBAの推薦状を効果的なものにするには
推薦状とは?
欧米のMBAに出願するのであれば、2~3通は用意しておく必要がある推薦状。国内MBAでは馴染みのないものですが、海外MBAのアドミッションでは、選考材料の一つとして活用されます。試験結果やエッセイ、レジュメなどと同様に、重要な書類の一部です。そのため、信頼性に欠けると判断された場合は、合格の確率を下げることもあります。
推薦状は、MBAの志望者を「第三者」的な視点で見た、能力や仕事の成果を知るためのものです。職務経験のあるMBA志望者の場合は、職場の上司に推薦状を書いてもらうのが通例ですが、大学の恩師やゼミの先生に依頼するという手もあります。推薦者がMBA志望者の資質を裏付けるエピソードを盛り込むことで、審査員に与える真実性も高くなるでしょう。
複数のMBAスクールに出願する場合、学校ごとに推薦状の内容を変える必要はありませんが、大学名の書き換えを忘れないよう注意してください。万が一、大学名を書き間違えて提出した場合には、推薦者に大学と直接連絡をとってもらうようにしましょう。
アドミッションではどこを見られる?
有名大学の選考委員は、1ヶ月に何千人分もの出願者の書類を見るそうです。一人ひとりに時間をかけられないため、書類を読み始めて5~6分で、さらに時間をかけるべきかを判断するといいます。
その5~6分で、アドミッションは何を見ているのでしょう。
アドミッションはCVで学生の研究歴や職歴、成績表で知識レベルを把握。またTOEFLEやGMATのスコアでは、英語力や学力レベルを読み取ります。推薦状は2~3通ありますから、以上の書類を一つひとつ見ていくと、推薦状のチェックにかけられる時間は1分足らずです。つまり、約1分で自分の価値を伝えなければなりません。そのためには、具体性や客観性、信頼性を意識して推薦状を書いてもらう必要があります。
具体性については、「問題解決能力が高い」「コミュニケーション能力が高い」「根性がある」などの単なる褒め言葉ではなく、能力の高さを表す具体的なエピソードを説明しましょう。
選考委員は推薦状から、出願者だけでなく推薦者の会社や組織、学校のレベルまで認識します。推薦状に書かれたエピソードで、出願者の経歴や肩書きに見合わない能力の低さ、プロジェクト自体のレベルの低さに気づけば、推薦者に対する信憑性も薄くなるでしょう。
誰に作成してもらう?
推薦状は、あなたの実績や思い描くゴールを知っていて、具体的にアピールしてくれる人が適任です。推薦者と事前に打ち合わせをすることで、信頼性の高い推薦状に仕上がるでしょう。
社会人のMBA出願者の場合は、一般的には直属の上司が推薦者になります。説得力のある推薦状を書き上げるには、あなたのことを熟知している人が一番です。そのため、会社の代表などネームバリューのある方でも、付き合いが浅ければ無意味です。逆に、他の部署の上司や取引先、大学の教授などでも、深い付き合いがあれば、推薦者として有効といえます。
推薦状の依頼は、相手の都合もありますから、出願する6〜8週間くらい前までに伝えましょう。推薦状を効率的に仕上げてもらうには、書いてもらいたいエピソードを事前にまとめおくのが理想です。
またプログラムによっては、1通を「直属の上司」と指定する場合があります。私費でMBA留学をする場合は、会社に無断で出願することもあるでしょう。その場合は、その旨を明記すれば問題ありません。アドミッションもその点は理解しているため、MBAへの出願を明らかにでき、自分の仕事ぶりをよく知っている人に依頼しましょう。
推薦書作成を断られないために!戦略的な依頼方法
出願者はもちろん推薦者側も、過去に推薦状を依頼する、または書く経験をしたことがないという場合がほとんどです。そのため安易に依頼すると、断られる可能性も高くなります。推薦状の依頼を断られないためには、依頼の仕方を知っておく必要があるでしょう。
単に「私の推薦文を書いてください」と言うだけでは、戦略的な推薦状に仕上げることはできません。丸投げ状態で依頼されても、推薦者は困ってしまいます。書いてもらいたい内容を事前に用意することはもちろん、MBA取得の目的や将来の目標などを相手に伝え、理解してもらうことが重要です。
推薦状を依頼するときには、詳細な資料を準備し、十分に説明しましょう。多くのMBAスクールでは、出願者の「リーダーシップ能力」に注目しています。そのため、推薦者にあなたの「リーダーシップ能力」を示すエピソードを強調して伝えることが大切です。
英語での文書作成が苦手な推薦者の場合
海外MBAの場合は、英文で書かれた推薦状を提出します。英語が堪能でない推薦者であれば、日本語で推薦文を作成してもらい、第三者に翻訳を依頼。最終的なチェックを再度、推薦者にお願いしてサインをもらうという手順で進めましょう。ただし、推薦状を提出する際には、第三者が英訳したことを証明しなければなりません。翻訳者には、英訳の旨を証明する文書を作成してもらいましょう。また、日本語で書かれた推薦状を翻訳して提出する場合は、英訳した文書とオリジナルの文書をセットで提出するよう求められることもありますので、募集要項を忘れずにチェックしましょう。